わが子のアトピー体験談

わが子のアトピー改善に、グルテン・カゼインフリーの食事を取り入れた親の体験談

Tags: アトピー, 子供のアトピー, 食事療法, 代替療法, グルテンフリー, カゼインフリー

はじめに

この記事では、わが子のアトピー改善を目指し、特定の食事療法、具体的にはグルテンとカゼインを除去する食生活を試した親としての体験をお話しさせていただきます。

子供のアトピーは、親にとって心労が絶えない課題の一つです。様々な情報を収集し、試行錯誤を繰り返しておられる方も多いことと存じます。私自身も、一般的な治療と並行して、食事のアプローチに可能性を感じ、この方法を取り入れてみました。

この記事が、お子様のアトピーと向き合っている他の親御様にとって、何か一つの参考や気づきとなれば幸いです。ここで述べる内容は、あくまで一個人の体験談であり、医学的なアドバイスではないことをご理解いただければと存じます。

子供のアトピーの状況と代替療法を試すまでの経緯

わが子にアトピーの症状が見られ始めたのは、生後数ヶ月の頃でした。最初は頬の湿疹から始まり、次第に全身に広がっていきました。かゆみが強く、夜中に掻きむしってしまうことが、子供にとっても親にとっても大きな負担でした。

小児科や皮膚科を受診し、医師の指導のもと、保湿剤とステロイド外用薬を中心とした標準的な治療を続けておりました。薬を使用すると一時的に症状は落ち着くものの、完全に消えることはなく、また薬を減らすと症状が悪化するという状態を繰り返していました。この状況に、この治療法を続けていくことで本当に改善に向かうのだろうか、という漠然とした不安を感じるようになりました。

そうした中で、インターネットや書籍、アトピーを持つお子さんを持つ他の親御さんの話などから、食事とアトピーの関係について情報を得ることが増えました。特に、パンや乳製品に含まれるグルテンやカゼインが、アトピーなどのアレルギー症状に関連する可能性があるという情報に目が留まりました。わが子はパンや牛乳が好きで、摂取頻度が高かったこともあり、もしこれが原因の一つなのであれば、試してみる価値があるのではないか、と考えるようになりました。

決断に至るまでには、本当に食事を変えるだけで効果があるのか、子供にとって負担にならないか、家族の協力は得られるかなど、様々な悩みがありました。夫とも何度も話し合い、まずは一定期間、無理のない範囲で試してみようという結論に至りました。

試した代替療法の詳細

私たちが試みたのは、約6ヶ月間にわたるグルテン・カゼインフリーの食事療法でした。これは、小麦粉製品(パン、パスタ、うどんなど)と乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)を日常の食生活から除去するというものです。

実践にあたっては、まず主食を米(白米、玄米)に切り替え、パンや麺類の代わりに米粉を使った食品や、米麺などを利用しました。牛乳の代わりには豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどを試しました。ヨーグルトやチーズなどの乳製品も一切摂取せず、代わりに植物性ヨーグルトや、ナッツを使った代替チーズなどを探して取り入れました。

この食事を始めたのは、子供が3歳になった頃でした。朝食はご飯と味噌汁、焼き魚など和食中心に、昼食はお弁当を持たせることが多く、米粉パンや米粉麺などを活用しました。夕食も和食や、米粉を使った料理、肉や魚、野菜を中心としたメニューにしました。

この食事療法を実践する上で、最も負担となったのは食事の準備です。使える食材が限られるため、レパートリーを増やすために様々なレシピを調べたり、代替食品を探し回ったりする必要がありました。また、代替食品は一般的な食品に比べて価格が高い傾向にあり、食費は以前より増加しました。外食や親戚との集まりの際には、食べられるものが限られるため、事前に確認したり、子供用の食事を持参したりといった工夫が必要でした。幼稚園の給食についても、アレルギー対応をお願いする必要がありました。

実践中の子供の様子と親の観察

食事療法を開始してからの子供の様子を注意深く観察しました。最初の1ヶ月は、特に肌の状態に目に見える変化は感じられませんでした。かゆみや湿疹は以前と同様に見られました。

2ヶ月目頃から、なんとなく肌の赤みが落ち着いてきたように感じることが増えました。特に夜間の掻きむしりの頻度が、以前ほどひどくなくなったように見受けられました。ただし、これは日によって波があり、体調や気温、湿度などにも左右されるため、食事療法だけの効果なのかどうかは断定できませんでした。

3ヶ月目、4ヶ月目と続けるうちに、肌全体の乾燥は依然としてあるものの、ジュクジュクとした浸出液が出るようなひどい湿疹は減ってきたように感じました。また、アトピーとは直接関係ないかもしれませんが、お腹の調子が良い日が増え、便通が安定したように見受けられました。子供自身の機嫌も、以前より落ち着いている時間が増えたように感じましたが、これは成長によるものかもしれませんし、客観的な評価は難しい点です。

実践中に難しかったのは、やはり子供が食べたいものを我慢することでした。公園で他のお友達がパンやお菓子を食べているのを見て、「食べたい」と訴えることもありました。その都度、なぜ食べられないのかを丁寧に説明したり、代替のおやつを用意したりと、根気強く向き合う必要がありました。

親としては、この食事療法に効果があるのか、このままで良いのかという迷いが常にありました。体調の変化に一喜一憂し、少しでも肌の状態が悪くなると「やはり効果がないのではないか」と落ち込むこともありました。しかし、「まずは決めた期間は続けてみよう」と、家族で励まし合いながら乗り越えました。

結果と効果の評価

約6ヶ月間のグルテン・カゼインフリーの食事療法を終えて、最終的にわが子のアトピー症状にどのような変化が見られたかを振り返ります。

結論から申し上げますと、劇的に症状が改善し、アトピーが完治するというような効果は得られませんでした。広範囲に及ぶ湿疹や乾燥は依然として残っており、かゆみも完全になくなったわけではありませんでした。

しかし、一定の変化は見られました。以前に比べて、肌の赤みが全体的に和らいだこと、そして、最もつらかった夜間の激しいかゆみで眠れないという日が減ったように感じられたことは、親としては小さな光でした。ステロイド外用薬の使用量も、食事療法を開始する前と比較すると、わずかではありますが減らすことができた期間もありました。これは医師とも相談しながら調整していきました。

効果の評価は非常に難しかったです。肌の状態を毎日写真に撮り記録したり、掻きむしる回数をカウントしたりと、私たちなりに客観的な指標を持とうと努めましたが、体調や環境要因も大きいため、純粋に食事療法だけの効果を切り分けることは困難でした。ただ、子供自身の全体的な調子(お腹の調子や機嫌)が以前より安定したように感じられた点は、食事を見直したことによる良い影響だったのかもしれないと考えています。

6ヶ月の期間を経て、私たちはこの食事療法を一旦終了するという判断をしました。完全に症状が消えるまでの効果は得られなかったことと、食事の準備や費用、子供の我慢といった負担が継続するには大きかったことが理由です。ただし、完全に元の食事に戻すのではなく、以前よりは小麦製品や乳製品の摂取頻度を減らし、様子を見るという形に移行しました。

体験を通じて得られたこと・他の親へのメッセージ

このグルテン・カゼインフリーの食事療法を試した体験を通じて、様々なことを学びました。

まず、子供の体質やアトピーの原因は複雑であり、一つの方法だけで劇的に改善するとは限らない、という現実を改めて認識しました。しかし同時に、食事を含む日々の生活習慣が、体調やアトピー症状に何らかの影響を与えている可能性は否定できないと感じました。

情報収集の重要性も痛感しました。インターネット上には様々な情報が溢れていますが、その全てを鵜呑みにするのではなく、信頼できる情報源を見極めること、そして何よりも医師や専門家と相談しながら進めることの大切さを学びました。

そして、子供のアトピーと向き合う中で、親自身が焦らず、冷静でいることの難しさと重要性も学びました。一進一退を繰り返す症状に一喜一憂せず、長期的な視点で子供の成長を見守ること、そして、完璧を目指すのではなく、親子にとって無理のない方法を選ぶことの大切さを実感しています。

同じように子供のアトピーに悩み、食事療法や他の代替療法を検討しておられる親御様へお伝えしたいのは、情報収集は大切ですが、その情報に振り回されすぎないでほしい、ということです。様々な方法があることを知ることは大切ですが、ご自身の判断基準を持ち、お子さんの様子をよく観察しながら、無理のない範囲で試すこと、そして、必ず専門家にも相談しながら進めることをお勧めいたします。

何よりも、アトピーは子供自身の苦しみですが、それを支える親の精神的な健康も非常に重要です。一人で抱え込まず、家族や専門家、そして同じように悩む他の親御さんと繋がることが、心の支えになります。

まとめ

今回は、わが子のアトピー改善を目指し、約6ヶ月間実践したグルテン・カゼインフリーの食事療法について、率直な体験談をお話しいたしました。

劇的な改善には至らなかったものの、肌の赤みが和らぐ、かゆみが少し落ち着くといった変化が見られました。この体験を通じて、アトピー治療には様々なアプローチがあり得ること、そしてその効果は一人ひとり異なることを改めて実感いたしました。

アトピーとの向き合い方は、お子さんやご家庭の状況によって多岐にわたります。一つの体験談として、これが他の親御様の情報収集の一助となったり、新たな視点を提供できたりすれば幸いです。わが子のアトピー体験談サイトが、親御様同士が経験を分かち合い、互いを支え合う場となることを願っております。