わが子のアトピー、特定の食材除去を3ヶ月試して見えたこと
はじめに
この度は、わが子のアトピー治療において、特定の食材除去という代替療法を約3ヶ月間試した経験についてお話しさせていただきます。私自身、子供のアトピーに深く悩み、様々な情報を探求する中でこの方法に関心を抱きました。本稿では、なぜ食材除去を選んだのか、具体的にどのような実践を行い、子供にどのような変化が見られたのか、そしてこの体験を通じて親として何を感じ、何を学んだのかを率直に記述いたします。
医学的な見地からの情報提供や推奨ではなく、あくまで一人の親の体験談として、今同じように子供のアトピーに悩み、代替療法、特に食事療法に関心を寄せている他の親御さんにとって、何か一つでも考えるきっかけや参考になることがあれば幸いです。
子供のアトピーの状況と代替療法を試すまでの経緯
わが子にアトピーの症状が出始めたのは、生後数ヶ月の頃でした。最初は頬の赤みから始まり、徐々に体幹、手足へと広がり、強い痒みを伴うようになりました。皮膚科を受診し、保湿剤とステロイド外用薬を処方され、指示通りに使用することで症状は一時的に落ち着くものの、少し油断するとすぐに悪化するという波を繰り返していました。特に夜間の痒みが強く、掻きむしって眠れない日が多く、子供も親も疲弊しておりました。
一般的な治療法で症状のコントロールが難しいと感じる中で、何か根本的な解決策はないかと考えるようになりました。インターネット、書籍、SNSなどで様々な情報を収集するうちに、「アトピーは体の内側から治す必要がある」「食事との関連性が高い」といった考え方を知るようになりました。その中で、特定の食品がアトピーを悪化させる可能性があるという情報に触れ、食材除去療法に強い関心を抱くようになったのです。
情報の中には、医学的な根拠が明確でないものも少なくありませんでしたが、「もしかしたら、わが子のアトピーも食べ物が原因かもしれない」という藁にもすがる思いが募りました。家族とも相談し、医師の指導のもとではない方法を試すことへの不安はありましたが、現状を改善したい一心で、まずは比較的情報が多く、実践しやすいと考えられた特定の食材除去を試してみようと決断いたしました。
試した代替療法の詳細
私たちが試したのは、アトピーやアレルギーとの関連が指摘されることの多い、特定の食材(この場合は卵、牛乳、小麦)を一定期間、食事から完全に除去するという方法でした。開始したのは、子供が2歳になった頃です。
実践期間は、まず3ヶ月を目安と設定しました。この期間、食事から卵、牛乳、小麦を含むあらゆる食品を排除することを徹底しました。具体的には、加工品の原材料表示を細かく確認し、アレルギー対応食品や代替品(米粉、植物性ミルクなど)を積極的に利用しました。自宅での食事はすべて手作りとし、外食や市販のお菓子などは原則的に控えました。
実践にかかった費用としては、アレルギー対応食品や代替品の購入により、従来の食費よりも若干増加したように思います。また、親自身の負担としては、献立を考える手間や調理時間が格段に増えました。子供が食べられるものを常に携帯したり、外出先での食事に制約があったりと、日常生活における工夫や制約も多くありました。
実践中の子供の様子と親の観察
食材除去を開始してからの子供の様子は、予想以上に複雑なものでした。最初の1ヶ月は、目に見える劇的な改善はほとんどありませんでした。むしろ、新しい食事に慣れないせいか、一時的に食欲が落ちたり、便秘気味になったりといった変化が見られました。肌の状態も一進一退で、期待していたような変化が見られないことに、親としては焦りや不安を感じる時期でもありました。
2ヶ月目に入ると、夜間の痒みが少しだけ軽減されたように感じる日が出てきました。しかし、これはあくまで「軽減されたように感じる」という程度で、日中の掻きむしりや肌の赤みが完全に消えることはありませんでした。特定の食品を誤って少量でも摂取してしまったと思われる際には、翌日肌の赤みが増すような印象を受けることもありましたが、これも他の要因(乾燥、汗など)によるものか判別が難しく、戸惑うことが多かったです。
この期間、最も難しかったのは、食事の制限を子供に理解させることでした。他の子供が美味しそうに食べているものを見たり、慣れない味の代替品を嫌がったりすることがあり、心が痛む場面が度々ありました。なんとか工夫して、見た目や味を近づけた料理を作ったり、除去食でも楽しめるおやつを探したりと試行錯誤を繰り返しました。親自身も、「本当にこの方法で合っているのだろうか」「栄養は足りているのだろうか」といった不安と常に隣り合わせでした。
結果と効果の評価
約3ヶ月の食材除去期間を経て、最終的にわが子のアトピーにどのような変化が見られたかについてご報告いたします。結論から申し上げますと、劇的な改善とまでは言えませんでした。夜間の痒みが若干軽減されたと感じる日があったり、部分的に肌の赤みが落ち着いたように見える箇所があったりしたことは事実です。しかし、アトピーの根本的な改善、例えばステロイド外用薬の使用を中止できるほどになったり、日中の掻きむしりがほとんどなくなったりといった変化は見られませんでした。
親として肌の状態を毎日観察し、掻きむしる回数や夜間の睡眠時間などを記録していましたが、除去食の効果として明確に判断できるほどの客観的な変化は捉えられませんでした。効果が出るまでの期間は個人差が大きいと承知していましたが、3ヶ月という期間で目に見える大きな変化が得られなかったこと、そして実践に伴う親子の負担を考慮し、この方法を継続するかどうか再検討する必要があると判断いたしました。
最終的には、3ヶ月で特定の食材の厳密な除去は一旦終了し、皮膚科の医師とも相談の上、少しずつ食品を戻していく方法を選択いたしました。この経験から、わが子のアトピーにおいては、特定の食材除去が唯一または主要な原因ではなかった可能性が高いという結論に至りました。
体験を通じて得られたこと・他の親へのメッセージ
この3ヶ月間の特定の食材除去体験は、私たち親子にとって多くの学びをもたらしました。最も強く感じたのは、子供のアトピー治療において、安易な情報に飛びつくことの危険性と、子供自身の体や心に寄り添うことの重要性です。インターネット上には様々な情報が溢れており、どれも魅力的に見えることがあります。しかし、科学的根拠が不明確な情報に振り回され、子供に過度な制限を課すことの負担やリスクを身をもって知りました。
また、代替療法を試す場合でも、必ず専門家である医師と連携することの重要性を再認識いたしました。自己判断での食事制限は、栄養不足のリスクや、本当に必要な治療の機会を逸する可能性も孕んでいます。
この体験を通じて、わが子のアトピーと向き合う上で、完璧を目指すのではなく、日々の変化を冷静に観察し、子供の全体的な健康状態や精神的な安定も考慮に入れる必要があると感じるようになりました。アトピーは体質的な側面も大きく、劇的な改善が難しくても、症状をコントロールしながら子供が快適に過ごせるようにサポートすることが親の役割だと考えるようになりました。
同じように子供のアトピーに悩み、代替療法を検討されている親御さんへお伝えしたいのは、情報収集は大切ですが、それに振り回されすぎないことです。ご自身の子供の様子を一番よく見ているのは親御さんです。様々な情報を参考にしつつも、最終的には冷静な判断と、お子さんにとって何が最も大切かという視点を忘れないでいただきたいと思います。そして、悩んだり疲れたりした時は、一人で抱え込まず、信頼できる専門家や同じ経験を持つ親御さんと繋がることも大切です。親御さん自身の心身の健康も、お子さんのケアには欠かせない要素です。
まとめ
わが子のアトピーに対して、特定の食材除去を約3ヶ月間試みた体験について述べさせていただきました。結果として劇的な肌症状の改善には至りませんでしたが、この過程で得られた気づきや学びは非常に大きかったと考えております。安易な情報に流されず、子供の個々の状態をよく観察し、専門家と連携しながら、親子にとって最善の方法を共に探求していくことの重要性を強く認識いたしました。
この体験談が、今、お子様のアトピーに悩み、様々な治療法やケアの方法を模索されている他の親御さんにとって、一つのリアルな声として届けられ、何かしらの参考になれば幸いです。皆様のお子様の肌が穏やかになる日が来ることを心より願っております。