わが子のアトピー改善、遅延型アレルギー検査の結果に基づく食事療法を試した親の体験談
はじめに
この体験談では、わが子のアトピーに対し、一般的に行われる保険適用内のアレルギー検査とは異なる「遅延型アレルギー検査」を受け、その結果に基づいて食事療法を試みた際の経験についてお話しします。当時、わが子のアトピー症状に悩み、様々な情報を模索する中でこの検査と食事療法を知りました。この記事が、同じように代替療法に関心を持つ親御さんの、情報収集の一助となれば幸いです。
子供のアトピーの状況と代替療法を試すまでの経緯
わが子にアトピー症状が出始めたのは、生後数ヶ月の頃でした。最初は頬の軽い赤みでしたが、徐々に全身に広がり、特に肘や膝の裏、首周りの症状が強く、夜中の掻きむしりによる出血でシーツが汚れることも頻繁にありました。一般的な皮膚科を受診し、ステロイド外用薬を中心に治療を行っていましたが、塗布すると一旦は落ち着くものの、やめるとすぐにぶり返す状態が続いていました。保湿剤も様々なものを試しましたが、根本的な改善には繋がっていないように感じておりました。
この状況を目の当たりにする中で、薬に頼る治療だけでなく、体質改善や根本原因へのアプローチが必要ではないかと考えるようになりました。インターネットや関連書籍で情報収集を重ねるうちに、「遅延型アレルギー」という概念を知りました。即時型アレルギーとは異なり、摂取後数時間から数日後に症状が現れるタイプのアレルギーが存在し、アトピーなどの慢性的な炎症に関わっている可能性があるという情報に触れ、わが子のアトピーもこれが関係しているのかもしれないと考え始めました。一般的なアレルギー検査では陰性だった食品についても、遅延型で反応が出ている可能性が気になり、藁にもすがる思いでこの検査を試してみることを決意いたしました。
試した代替療法の詳細
わが家で試したのは、特定の機関が提供するIgG抗体を調べる遅延型アレルギー検査と、その結果に基づく食事療法です。検査は自宅で少量の採血を行い、郵送で送るタイプのものでした。検査費用は自己負担で、数万円程度でした。検査項目は100種類以上の食品にわたるものでした。
検査結果が出るまでには数週間かかりました。結果報告書には、各食品に対するIgG抗体の量がレベル分けされており、反応が強い食品、中程度の食品、反応がほとんどない食品が一覧で示されていました。わが子の場合は、牛乳、卵、小麦といった一般的なアレルゲンのほか、特定のナッツ類やスパイス、野菜など、予想していなかった食品にも比較的強い反応が出ていることが分かりました。
この結果を受けて、レベルの高い反応が出た食品を一定期間(約3ヶ月間)徹底的に食事から除去する、という食事療法を実践することにいたしました。除去する食品が多岐にわたるため、調理には大変な手間がかかりました。例えば、パンや麺類は米粉やグルテンフリーのものを使用し、牛乳の代わりに植物性ミルクを、卵の代わりに特定の代替食材を用いるなど、様々な工夫が必要でした。外食はほぼ不可能となり、食材の買い物も成分表示を隅々まで確認する必要がありました。
実践中の子供の様子と親の観察
食事療法を開始して最初の2週間ほどは、目立った変化は感じられませんでした。むしろ、除去食に慣れないせいか、子供の機嫌が悪くなったり、食べられるものが限られることによるストレスが見られる時期もありました。親としても、毎日の食事準備に追われ、これで本当に効果があるのだろうかという不安が常にありました。
しかし、1ヶ月ほど経過したあたりから、肌の状態にわずかな変化が見られるようになりました。特に夜間の掻きむしる回数が、以前より少し減ったように感じられました。炎症自体が劇的に引いたわけではありませんでしたが、ジュクジュクとした浸出液が出る箇所が減り、カサカサとした乾燥性の湿疹が主になってきたように見えました。睡眠時間も以前よりまとまって取れる日が増え、朝起きた時の顔色が以前より良いように感じられることもありました。
一方で、特定の食品を誤って少量摂取してしまった際に、数日後に痒みが増すように見えることもありました。これは検査結果との関連を疑わせる出来事でしたが、科学的な根拠があるわけではなく、あくまで親としての観察に基づいたものです。また、除去食を続けることによる栄養バランスへの懸念から、専門家(栄養士など)に相談する必要性を感じつつも、日々の忙しさからなかなか実行に移せないという課題もありました。
結果と効果の評価
約3ヶ月間の遅延型アレルギー検査に基づく食事療法を終えた時点での、わが子のアトピー症状は、完全に寛解したわけではありませんでした。しかし、食事療法開始前と比較すると、肌全体の状態はいくらか改善し、炎症の度合いが軽減されたように見えました。特に、夜間の掻きむしりや浸出液といった強い症状が出る頻度は明らかに減りました。
効果の評価としては、検査結果と実際の症状の関連性を完全に証明することはできませんでしたが、特定の食品を除去した期間に症状の落ち着きが見られたことは事実としてありました。一方で、除去食を解除し、徐々に元の食事に戻していく過程で、特定の食品を再開した際に一時的に症状が悪化するように見えることもあり、検査結果にある程度の示唆はあったのかもしれないと感じています。
しかし、この食事療法は手間や費用負担が大きく、除去による栄養の偏りや子供のストレスといったリスクも伴います。わが家の場合は、3ヶ月の試行期間を経て、完全に元の食事に戻すのではなく、検査結果で高反応が出た食品のうち、特に症状との関連が疑われる特定の食品群については、摂取頻度や量を控えめにするという形で、継続可能な範囲で食事に配慮していくという選択をいたしました。並行して、皮膚科医との相談の上で、必要に応じた外用薬の使用や保湿ケアも継続しました。
体験を通じて得られたこと・他の親へのメッセージ
この遅延型アレルギー検査と食事療法の実践を通じて、私はアトピー治療や情報収集について多くのことを学びました。まず、インターネット上には様々な情報があふれており、その中から信頼できる情報を選び取り、冷静に判断することの重要性を痛感いたしました。高額な費用をかけて検査を受けた結果に期待しすぎるのではなく、あくまで一つの情報として捉え、子供の実際の反応を注意深く観察することが何よりも大切だと感じています。
また、食事療法のような代替療法を試みる際は、専門家(医師や管理栄養士)に相談し、医学的な視点や栄養学的な視点からのアドバイスを得ることが非常に重要であると改めて認識いたしました。親だけで抱え込まず、利用できるリソースを活用することが、親自身の負担を軽減し、より安全かつ効果的なアプローチを見つける上で役立つと考えられます。
同じようにわが子のアトピーに悩み、様々な代替療法を検討されている親御さんへお伝えしたいのは、一つの方法に固執しすぎず、複数の選択肢を冷静に見つめること、そして何より子供の心と体の声に耳を傾けることの大切さです。どのようなアプローチを選ぶにしても、それが子供にとって過度なストレスにならないか、家族全体で協力して取り組めるかといった視点も重要になるでしょう。
まとめ
わが子のアトピーに対し、遅延型アレルギー検査に基づいた食事療法を試みた体験は、決して万能な解決策ではありませんでしたが、症状の一時的な落ち着きや、アトピーと食事の関連性について考える貴重な機会となりました。手間や費用、そして効果の不確実性といった課題もありましたが、親としてできることを探求し、わが子のために最善を尽くしたいという思いから行った一つの試みでした。
この体験談が、他の親御さんがご自身の状況と照らし合わせ、新たな視点を得たり、情報収集を進める上での参考となれば幸いです。アトピー治療には様々なアプローチがあり、何がわが子にとって最適解なのかは、試行錯誤の中で見つけていくしかないのかもしれません。このサイトを通じて、互いの経験を共有し、学び合うことが、私たち親子の、そして多くの家族の力となることを願っております。