わが子のアトピー改善、経口プロバイオティクスとプレバイオティクスを取り入れた親の体験談
はじめに
この記事では、わが子の重度のアトピー性皮膚炎に対し、経口でのプロバイオティクスおよびプレバイオティクスの摂取を中心としたアプローチを試みた体験についてお話しします。当時、わが子はおよそ3歳で、体中の湿疹と強い痒みに悩まされていました。この記事を通じて、同じように子供のアトピーと向き合い、様々な可能性を模索されている親御さんにとって、一つの情報として、あるいは共感を得られる点があれば幸いです。ただし、これはあくまで個人の経験に基づいた体験談であり、医学的な見解や治療法を推奨するものではないことをご理解ください。
子供のアトピーの状況と代替療法を試すまでの経緯
わが子のアトピーは生後数ヶ月で発症し、1歳を過ぎた頃から徐々に悪化の一途をたどりました。特にひどかったのは顔、首、肘や膝の関節、そして体幹部で、常に赤みがあり、浸出液が出ることも少なくありませんでした。夜間の痒みは非常に強く、睡眠が妨げられることが日常的でした。
皮膚科からはステロイド外用剤や保湿剤を処方され、指示通りに使用していましたが、症状が落ち着くのは一時的で、完全にきれいな状態を維持することは困難でした。薬を塗るたびに子供が嫌がること、そして薬を使い続けることへの漠然とした不安から、「他に何かできることはないか」と考えるようになりました。
情報収集を進める中で、アトピーと腸内環境の関係に言及する情報を目にすることが増えました。インターネット上の記事や書籍、アトピー関連のフォーラムなどで、腸内細菌のバランスを整えることが皮膚症状の改善に繋がる可能性があるという考え方に触れ、従来の対症療法とは異なる根本的なアプローチとして興味を持ちました。特に、経口でのプロバイオティクス(善玉菌)やプレバイオティクス(善玉菌のエサとなる成分)の摂取に関する体験談や研究情報に惹かれ、これを試してみようと決意しました。夫とも話し合い、まずは試しやすいものから始めてみようということになりました。
試した代替療法の詳細
私たちが行ったのは、主に特定の種類の経口プロバイオティクスサプリメントと、特定の成分を含むプレバイオティクス食品の摂取でした。
具体的には、アトピーやアレルギーとの関連が研究されているとされる特定の乳酸菌やビフィズス菌を含むパウダー状のプロバイオティクス製品を選びました。これと並行して、腸内の善玉菌のエサとなると言われるフラクトオリゴ糖を含むシロップ状のプレバイオティクス製品も取り入れました。
実践期間は、プロバイオティクスは約1年半、プレバイオティクスは約1年間継続しました。毎日、朝食時や就寝前など、決まったタイミングでそれぞれの製品を子供に与えました。プロバイオティクスは味に癖がないものが多かったため、飲み物やヨーグルトに混ぜて与えることが多かったです。プレバイオティクスシロップは甘みがあり、単体でも嫌がらずに摂取できました。
製品選びには、インターネット上の口コミや情報、製品の成分表示などを参考にしましたが、あくまで自己判断で行いました。特定の製品に固執せず、数ヶ月ごとに別の種類のプロバイオティクスを試してみることもありました。
費用としては、プロバイオティクス製品は月に数千円、プレバイオティクス製品は月に千円程度がかかりました。合わせて月に5千円〜1万円程度の負担でした。子供に毎日摂取させるという手間はありましたが、習慣化すればそれほど大きな負担とは感じませんでした。
実践中の子供の様子と親の観察
プロバイオティクスとプレバイオティクスの摂取を開始して最初の数週間は、特に目立った変化は見られませんでした。しかし、摂取開始から1ヶ月ほど経った頃から、わが子の便通に変化が見られ始めました。以前はやや不安定だった排便リズムが整い、便の状態も安定してきたように感じられました。
肌の状態については、劇的な改善というよりは、少しずつ、穏やかな変化が見られました。摂取開始から3ヶ月頃には、以前より赤みが少し落ち着いたように感じられる日が増え、皮膚の厚みもやや減ったように見えました。掻きむしる回数も、以前に比べて減ったかもしれません。ただし、季節の変わり目や体調によっては、やはり湿疹が悪化することもあり、一進一退を繰り返しているように感じました。
全体的な様子としては、便通が安定したことで、以前より機嫌が良い時間が増えたように思いました。夜間の痒みによる覚醒回数がわずかに減り、睡眠の質が少し向上したように感じられた時期もありました。
実践中に難しかった点としては、効果が目に見えてすぐに現れるわけではないため、「本当にこれで良いのだろうか」「このまま続けて意味があるのだろうか」と不安になることがありました。また、様々な製品がある中で、どれを選べば良いのか、量が適切なのかといった判断に迷うことも多々ありました。工夫としては、子供が飽きないように味や形状の異なる製品を試したり、摂取を楽しい時間にするために声かけを工夫したりしました。
結果と効果の評価
約1年〜1年半の期間、経口プロバイオティクスとプレバイオティクスを継続した結果、わが子のアトピー性皮膚炎は、摂取開始前に比べると全体的にやや落ち着いた状態を保つことが多くなったように感じられました。特に、便通の安定とそれに伴う体調の安定感は、親として実感できた変化でした。
肌の症状については、完全に無くなったわけではありませんが、以前のように常に体中が赤く、浸出液が出続けるような状態は減りました。掻きむしる頻度や夜間の痒みによる覚醒回数も、ゼロではありませんが、ピーク時に比べれば軽減されたように観察できました。これらの変化を、例えば肌の写真や掻きむしり回数の記録など、客観的なデータとして詳細に記録していたわけではありませんが、日々の子供の様子を観察する中で、改善傾向にあると判断しました。
ただし、この変化がプロバイオティクスとプレバイオティクス摂取のみによるものなのか、あるいは同時期に行っていた他のスキンケアの工夫や、子供自身の成長によるものなのかを明確に区別することは困難です。あくまで複合的な要因の一部として、腸内環境アプローチが何らかの良い影響を与えた可能性がある、というのが私たちの率直な評価です。
最終的には、明確な「治癒」には至らなかったものの、子供の体調を安定させ、肌の状態を少しでも良い方向に導くための一助となった可能性を感じ、その後も特定のプロバイオティクス製品は継続して摂取させています。プレバイオティクスについては、食事からの摂取も意識するようになり、特定の製品への依存は減らしました。
体験を通じて得られたこと・他の親へのメッセージ
この体験を通じて、子供のアトピー治療においては、一つの方法に固執せず、様々な可能性に目を向けることの重要性を改めて認識しました。また、代替療法と呼ばれるものには科学的根拠が確立されていないものも多く含まれるため、情報の真偽を見極める冷静な視点が必要だと強く感じました。過度な期待はせず、あくまで「試してみる」という姿勢で臨むこと、そして子供の反応を注意深く観察し、親が責任を持って判断することの大切さを学びました。
また、アトピー治療は長期戦であり、効果がすぐに出ないことや、悪化を繰り返すこともあります。そのような中でも、子供自身が心穏やかに過ごせる時間を作ること、親も自分自身を責めすぎずに、焦らず前向きな気持ちを保つことの重要性を痛感しました。腸内環境アプローチは、直接肌に塗る薬とは異なり、子供の体全体に働きかけるイメージであり、子供の体調や機嫌の安定に繋がる可能性があるという点で、私たちにとっては試す価値のあるものでした。
もし今、お子さんのアトピーに悩み、代替療法を検討されている親御さんがいらっしゃるなら、まずはその方法について十分に情報を収集し、信頼できる情報源を見極めることが大切だとお伝えしたいです。そして、必ず専門家(医師など)に相談し、標準治療とのバランスを考慮しながら進めることをお勧めします。何よりも、お子さんの心と体の声に耳を傾け、親子で一緒にこの課題に向き合っていく姿勢が大切だと感じています。
まとめ
わが子のアトピー性皮膚炎に対し、経口プロバイオティクスおよびプレバイオティクス摂取という腸内環境アプローチを試みた経験は、劇的な効果をもたらしたわけではありませんでしたが、子供の便通や体調の安定に一定の効果を感じ、肌の状態にも穏やかな改善の可能性を見出すことができました。
この経験は、代替療法を試す上での情報収集の重要性、冷静な判断、そして何よりも子供の心身と向き合う親としての姿勢について、多くの学びを与えてくれました。アトピー治療は、医学的なアプローチだけでなく、日々の生活習慣や、親子の心の状態も深く関わる複雑な課題であると改めて感じています。この記事が、同じ悩みを持つ他の親御さんにとって、何か考えるヒントや、少しでも気持ちが軽くなるきっかけとなれば幸いです。