わが子のアトピー改善にホメオパシーを取り入れた親の体験談
はじめに
この記事では、わが子のアトピーに対してホメオパシーを試した親としての体験をお話しさせていただきます。医学的な治療とは異なるアプローチであるホメオパシーに興味を持ち、実際に子どもと共に実践した経緯、具体的な内容、そしてどのような結果が得られたのかについて、率直にご共有いたします。この体験談が、お子様のアトピーで悩む他の親御さんにとって、何らかの参考や気づきになれば幸いです。
子供のアトピーの状況と代替療法を試すまでの経緯
わが子にアトピー性皮膚炎の症状が見られるようになったのは、生後数ヶ月の頃でした。最初は顔や頭皮の湿疹から始まり、次第に体幹や四肢へと広がっていきました。皮膚科を受診し、ステロイド外用薬や保湿剤による標準的な治療を続けておりましたが、塗布を止めるとすぐに湿疹が再燃し、かゆみで夜眠れないことも少なくありませんでした。
医師の指示に従い、スキンケアや環境整備にも気をつけていましたが、症状が劇的に改善するまでには至らず、親としては先の見えない不安を抱えておりました。特に、ステロイド外用薬の長期使用に対する懸念から、他のアプローチについても情報収集を始めるようになりました。
インターネットや書籍を通じて様々な情報を得る中で、ホメオパシーの存在を知りました。「似たものが似たものを癒す」という考え方や、希釈された物質を用いるという点に、当初は戸惑いもありましたが、薬に頼らない自然な方法であるという側面に惹かれました。周囲にホメオパシーを試したことのある知人がいたことも、興味を持つきっかけとなりました。家族と話し合い、まずは専門家のセッションを受けてみることにいたしました。
試した代替療法の詳細
私たちが試したのは、ホメオパシー専門家（ホメオパス）によるコンサルテーションを受け、個別に処方されたレメディーを摂取するという方法です。
初めてホメオパスを訪れたのは、子どもが1歳半の頃でした。子どものアトピーの症状、既往歴、性格、好嫌、家族の病歴など、非常に多岐にわたる質問に丁寧に答えました。ホメオパスはそれらの情報に基づいて、その子に最も合うと考えられる数種類のレメディーを選んでくれました。
処方されたレメディーは、小さな砂糖玉状のものでした。これを特定の頻度（例：1日1回、週に数回など）、指示された量（例：1粒、数粒など）で、舌下あるいは水に溶かして摂取させました。特定の症状が出た際に頓服として使用するレメディーもありました。
コンサルテーションは数ヶ月に一度のペースで受け、その都度、前回のレメディーによる変化や子どもの現在の状態を詳しく伝え、必要に応じてレメディーが見直されました。
このホメオパシーの実践にかかった費用は、コンサルテーション料が1回あたり1万円〜1万5千円程度、レメディー代が1ヶ月あたり数千円程度でした。期間としては、約1年半ほど続けました。親自身の手間としては、予約や通院、レメディーの管理や摂取指示の確認、そして何よりも日々の観察と記録が挙げられます。子どものわずかな変化も見逃さないよう注意を払う必要がありました。
実践中の子供の様子と親の観察
ホメオパシーのレメディーを摂取し始めてしばらくすると、「好転反応」と呼ばれる一時的な症状の悪化が見られることがあると事前に説明を受けていました。実際に、わが子の肌の状態が一時的に赤みを増し、かゆみが強くなった時期がありました。親としては非常に心配になりましたが、これは体が反応しているサインかもしれないと考え、指示通りに継続いたしました。
好転反応と思われる時期を過ぎると、肌の状態に緩やかな変化が見られるように感じました。特に、夜間の掻きむしりによって眠りが浅くなる回数が、以前より少し減ったように観察されました。ただし、これは劇的な変化ではなく、日によって波があり、完全に掻かなくなるわけではありませんでした。
アトピー以外の全体的な様子としては、特に目立った変化は見られませんでした。食欲や機嫌は通常通りで、睡眠時間もかゆみの程度に左右される状況が続きました。
実践中に難しかった点は、症状の波があるたびに、これがホメオパシーによる変化なのか、あるいは他の要因（季節、体調、食事など）によるものなのかを判断するのが非常に困難であったことです。また、一時的な悪化が見られた際に、このまま続けて良いのかという不安と常に隣り合わせでした。家族の中でも、ホメオパシーの効果に対する見解が分かれることもあり、戸惑う場面もありました。
結果と効果の評価
約1年半にわたるホメオパシーの実践を通じて、わが子のアトピー症状に劇的な改善が見られたかと問われれば、正直に申し上げて、目に見える大きな変化は限定的でした。肌の炎症やかゆみが完全に消失することはなく、湿疹も継続的に現れました。夜間の睡眠がわずかに改善した時期があったように観察されましたが、それがホメオパシー単独の効果であったのかは断定できません。
効果が出たと判断できるような明確な基準（例えば、湿疹面積の大幅な縮小、ステロイド使用量の劇的な減少など）を満たすまでには至りませんでした。親として、費用と時間をかけて実践した結果、期待していたほどの効果は得られなかったと感じました。
最終的に、わが家の場合はホメオパシーのみでのアトピーコントロールは難しいと判断し、ホメオパシーのセッションは終了いたしました。その後は、従来の皮膚科での治療を基本としながら、食事や環境といった生活全体の改善に再度重点を置くこととなりました。
体験を通じて得られたこと・他の親へのメッセージ
このホメオパシー体験を通じて、アトピー治療における情報収集の難しさと重要性を改めて痛感いたしました。世の中には様々な情報や治療法、代替療法が存在し、どれもが魅力的に映ることがあります。しかし、一つの情報や方法に飛びつくのではなく、様々な視点から情報を集め、冷静に吟味することの大切さを学びました。
また、親としてできることには限界があり、子ども自身の治癒力や成長、そして体質と向き合うことの重要性を感じました。代替療法を試す際には、その方法に対する期待だけでなく、かかる時間、費用、そして何よりも子どもの負担を総合的に考慮し、慎重に判断する必要があると感じています。
同じようにわが子のアトピーに悩み、様々な方法を検討されている親御さんへお伝えしたいのは、情報に振り回されすぎず、まずは標準的な治療法について十分に理解し、納得した上で、ご自身の判断で他の方法を検討されることが重要であるということです。どのような方法を選ぶにしても、それが全てを解決する魔法ではないという冷静な視点を持ち続け、お子さんの全体的な健康状態を見守ることが大切だと思います。そして、親自身の心身の健康も非常に重要です。
まとめ
この記事では、わが子のアトピーに対してホメオパシーを試した一親としての体験を正直に綴らせていただきました。私たちの場合、期待したほどの目覚ましい効果は見られませんでしたが、この経験を通じて、アトピーとの向き合い方、情報との付き合い方について多くの学びがありました。
アトピー治療には画一的な正解はなく、様々なアプローチが存在します。私たち親ができることは、情報を集め、判断し、子どもに寄り添いながら、その子に合った道を探求し続けることなのかもしれません。この体験談が、同じようにアトピーと向き合う親御さんたちの、多様なアプローチを知るための一つの情報源として、少しでもお役に立てれば幸いです。