わが子のアトピーに漢方薬を試した親の体験談
はじめに
この記事では、わが子のアトピー治療において、現代医学による治療と並行して漢方薬を試した私自身の経験をお話しさせていただきます。息子が乳児期からアトピー性皮膚炎を患っており、様々な治療法を模索する中で漢方薬にたどり着きました。
漢方薬が全ての子に有効であるとは限りませんし、医学的な推奨を行うものでもありません。しかし、現代医療だけでは改善が難しいと感じている方や、体質改善に興味をお持ちの方にとって、一つの情報や気づきのきっかけとなれば幸いです。
子供のアトピーの状況と代替療法を試すまでの経緯
息子のアトピーは生後数ヶ月の頃に始まりました。最初は頬の湿疹から始まり、やがて全身へと広がっていきました。特に夜間の痒みがひどく、眠れないために親子共に疲弊していた時期があります。
皮膚科医の指導のもと、ステロイド外用薬や保湿剤を中心に治療を続けておりました。一時的には改善が見られるものの、薬を減らすと症状がぶり返すことを繰り返し、一進一退の状態が続いていたのです。担当の医師からは、成長とともに体質が変化して改善することも期待できると伺っていましたが、目の前の息子の辛そうな姿を見るにつけ、他にできることはないかと考えるようになりました。
インターネットやアトピーに関する書籍などで情報収集を始めたところ、「体質改善」という考え方に出会い、その中で漢方薬が選択肢の一つとして紹介されていることを知りました。ステロイドのような対症療法だけでなく、体の内側からバランスを整えるという考え方に興味を持ち、漢方薬を試してみようと考えるに至りました。家族とも相談し、試してみる価値はあるだろうということで意見が一致しました。
試した代替療法の詳細
私たちが漢方薬を試すにあたり、まずはアトピー治療に知見のある漢方医を探しました。一般の皮膚科医ではなく、東洋医学的な診断に基づいた処方を受けたいと考えたためです。いくつかの医療機関を比較検討し、自宅から通いやすい場所にある、アトピー治療を専門的に扱っていることを謳っているクリニックを受診しました。
受診時には、息子の肌の状態だけでなく、日頃の様子、食欲、睡眠、便通、体温、汗のかき方など、非常に細かく問診が行われました。舌の状態や脈も診察の対象となり、西洋医学とは異なる視点での診察に新鮮さを感じました。
息子に処方されたのは、複数の生薬を調合したオリジナルの煎じ薬でした。個々の体質や症状に合わせて調整されるため、薬局で購入できるエキス顆粒よりも効果が期待できると説明を受けました。
服用は1日3回、食前または食間に行いました。期間としては、まず3ヶ月を目安に効果を評価していくことになりました。費用については、煎じ薬ということもあり、通常の保険適用される漢方薬よりも割高でした。初診料や調剤料を含めると、月に数万円程度の出費になったと記憶しています。
服用方法としては、規定量の生薬を水から煮出し、濾して飲むという手間がかかりました。朝と晩は自宅で、昼は保育園に持たせるために水筒に入れるなど、親の手間は少なくありませんでした。また、息子が独特の味や香りを嫌がることがあり、飲ませるのに苦労することもありました。工夫として、少量のはちみつ(1歳以上)を混ぜてみたり、服用の直後に好きな飲み物を飲ませたりしましたが、完全にスムーズに飲ませることは難しかったです。
実践中の子供の様子と親の観察
漢方薬を服用開始して最初の数週間は、特に目立った変化は見られませんでした。肌の状態も以前と変わらず、夜間の痒みも続いていました。しかし、漢方医からは「すぐに効果が出るわけではなく、体質が変わるには時間がかかる」と説明を受けていたため、焦らず継続することにしました。
服用開始から1ヶ月ほど経過した頃から、わずかな変化に気づき始めました。まず、便通が以前よりも安定してきたように感じました。アトピーの症状と直接関係があるかは不明でしたが、全身の調子が整ってきている兆候かもしれないと思いました。
肌の状態に関しては、劇的な改善というよりは、以前のように急激に悪化することが減ったように感じました。特に、少し掻きむしってしまっても、傷の治りが早くなったように見えました。しかし、完全に痒みがなくなったわけではなく、夜中に掻きむしってしまうことも依然としてありました。親としては、本当に効果があるのか、続けて意味があるのか、と悩むことも正直ありました。
また、息子が薬を飲むのを嫌がる日が増え、毎日決められた量を飲ませることに負担を感じるようになりました。無理強いはしたくなかったため、様子を見ながら、どうしても難しい日は量を減らしたり、休ませたりすることもありました。このような状況を漢方医に伝えたところ、量を調整したり、味が比較的飲みやすい他の処方に変えてみたりといった提案もいただきました。
結果と効果の評価
漢方薬を3ヶ月間継続した結果、息子のアトピー症状は、完全に治癒したわけではありませんが、いくつかの面で以前よりは落ち着いた状態になったと感じました。
特に変化が見られたのは、肌の赤みが少し引いたことと、皮膚の乾燥が以前ほどひどくなくなったことです。これにより、日中の痒みが若干軽減されたように見えました。夜間の痒みは完全に消失しませんでしたが、以前より深い眠りにつける時間が増えたように感じられる日もありました。
これらの変化は、劇的なものではなく、非常に緩やかなものでした。親として効果があったと判断した基準は、毎日の肌の観察記録(写真やメモ)、掻きむしる回数、そして息子の機嫌や睡眠時間といった総合的な判断でした。漢方医の診察でも、肌の状態は改善傾向にあると言われました。
ただし、これは漢方薬単独の効果なのか、それとも従来のスキンケアや時間経過による体質変化、あるいは他の要因が複合的に影響しているのかを明確に区別することは困難でした。費用や親の手間も考慮し、劇的な変化が見られなかったことから、一度漢方薬の服用を中止し、従来のスキンケアと皮膚科での治療を続けつつ、他の代替療法も視野に入れていくこととしました。
体験を通じて得られたこと・他の親へのメッセージ
今回の漢方薬の体験を通じて、アトピー治療の難しさと、治療法には様々な選択肢があることを改めて認識しました。現代医学に基づいた治療がもちろん基本となりますが、それだけでは十分ではないと感じた場合に、代替療法を含めた様々なアプローチを検討することは、親として大切なことだと感じています。
しかし、代替療法を試すにあたっては、情報収集の重要性を痛感しました。インターネット上には様々な情報が溢れていますが、その中には科学的根拠が乏しいものや、過度に効果を謳うものも少なくありません。今回の私のように専門家の助言を得ながら進めること、そして試す治療法について親子で納得して取り組む姿勢が大切だと感じました。
また、効果が出るまでには時間がかかる場合が多いこと、そして効果には個人差があることを理解しておく必要があります。高額な費用をかけたからといって必ずしも効果が得られるわけではありませんし、効果が見られない場合に、焦りや失望を感じることもあるかもしれません。大切なのは、冷静に子供の様子を観察し、無理なく続けられる方法を選択することだと思います。
もし、今お子様のアトピーに悩んでいらっしゃる方がいれば、まずは専門医としっかり連携を取りながら、様々な情報を冷静に吟味し、ご家庭に合った方法を焦らず探していくことをお伝えしたいです。
まとめ
わが子のアトピーに対し、体質改善を目指して漢方薬を試した経験は、私たち家族にとって一つの大きな学びとなりました。劇的な改善には至りませんでしたが、子供の体の状態を内側から考えるきっかけとなり、治療への向き合い方について深く考える機会を得ました。
アトピーの治療には、現代医療だけでなく、多様なアプローチが存在します。どの方法を選択するにしても、お子様の状態をよく観察し、信頼できる情報源に基づき、ご家族で話し合いながら進めることが大切です。私たちの体験談が、同じように悩む他の親御さんにとって、何か考えるヒントとなれば幸いです。